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 屋根なし傘

おぼろお月さんは
花嫁さん
屋根なし傘を
さしてゐる

おぼろお月さんは
花嫁さん
屋根なし傘で
濡れてしまふ

丸い蛇の目の
傘を
おぼろお月さんに
かしてやろ

おぼろお月さんは
花嫁さん
星根なし傘で
濡れてしまふ

 丁度、八日目の夜明け方に、長鍬の長者はたうとう攻め落されて了つたぢや。その時長者は、黄金の甕を下僕に負はせて、今もこの村の真中に流れてゐるあの川の岸まで落ちのびて来たのぢやが、毎日の五月雨で水は増してゐるし、橋も舟もないし、困り切つてゐると、車の庄の家来は、後から後から追ひかけて来たのぢや。長者は、せめて黄金の甕だけでも敵に渡すまいと、急いで河原の土を掘つて埋めて了つたのぢや。そのまま長者も下僕も討死にして了つたから、黄金の甕を埋めたことも、埋めた場所も、誰一人知らずに幾百年も幾百年も過ぎて了つたのぢや。
 それからだんだん歳がたつて、沼は田甫になるし、家の数は増えて来るし、まるつ切りこの村が変つて了つた、今からおよそ百年も前ぢやが、あの川縁へ、跛の一ツ目小僧が出たのぢや。

うとうととまどろみかけた頭のなかに
すぐぶんぶんとひびきながら
私の身体のところどころをへし折りはねとばし
すばらしい勢いで回転している調帯の幻影

いつでもいつでも
夜でも昼でも私は調帯にせめられている

まっくらがりのなかで
ぶんぶんうなりながら回転している調帯!
手を折られ足を折られた私のめのまえへ
疲れきったあたまのなかから
ひょっくりひょっくりあらわれてくる